製品知識
ステンレスは「錆びない」?
ステンレスとは、鉄を主としてクロム、ニッケルなどを混ぜた合金のことです。
基本は鉄ですから加工の影響や使用環境により腐食を起こすことがあります。
ステンレスは「錆びない」のではなく「錆びにくい」金属なのです。
ステンレスの鋼種はSUS〇〇〇(数字3桁)で表し、特性に合った用途があります。
ステンレスを大きく分けると「磁性のあるもの」と「磁性のないもの」に大別されます。
一般的にサインや屋外用に使用されている代表的なステンレス材はオーステナイト系ステンレスと呼ばれ、ニッケル約8%、クロム約18%を含みます。
SUS304のように300番台の数字で表し、磁性はありません。
耐食性・耐熱性に優れています。
クロムのみを含むフェライト系・マルテンサイト系ステンレスは磁性を持ち、SUS430のように400番台の数字で表します。
SUS304に比べて安価で用途上の問題がなければ代替が可能です。
汚れ・錆びの要因は?
ステンレスに含まれるクロムと大気中の酸素が結合し、表面に保護皮膜(不動態皮膜)を形成します。
この皮膜が内部の鉄を汚れや腐食の進行から守り、また皮膜が破壊されても周囲に酸素があれば皮膜を再生します。
皮膜が破壊されたり、ゴミなどが付着し皮膜が形成されなくなると、そこから錆びが発生することがあります。
汚れなど異物が付着しやすい場所、塩分を多く含む海の近くや台風の通り道は鉄鋼の腐食速度が大きくなります。こまめなお手入れをすることで腐蝕を防いだり遅らせることが可能です。
錆びの要因事例
- 軒・ひさしなど
- 風雨にさらされる場所、大気中の異物が付着しやすい場所
- 高速道路周辺、主要幹線道路、工場、火山・温泉街など
- 排気ガス・薬品汚染・大気汚染・酸性雨、鉄工所などの町工場の鉄粉飛散
- 現場作業(屋外、屋内)
- 金属に限らず研磨・切断・溶接・洗浄などの作業による錆びの誘発
- 清掃
- 清掃が行き届いていない場所、タイル・石貼り面の薬品による洗浄(酸洗い)
- 薬品散布
- 植栽への除草剤・除菌剤・肥料などの散布
- 体液
- 塩素を含む汗や血液、尿などの付着による錆びの誘発
- 風向き
- 風向きやサインの位置関係による塩害や異物付着
- 海・川
- 波しぶきによる塩害
- 積雪地域
- 塩化カルシウムなど融雪剤の影響
- 台風による塩害
- 風で飛ばされた海塩粒子の付着
- 気象条件の変化
- 大雨などによる浸水他
- もらい錆び
- 線路や建築工事現場、電線(吊りワイヤ)、錆びた手すりなどからの鉄粉の付着
製品の取り扱いについての御願い。
当社の製品は、金属、樹脂、ガラスなど様々な素材からできております。中には鋭利なものやわれやすいものなど、設置やメンテナンスの際に注意してお扱い頂かなければならない製品が数多くあります。
これらの製品は、必ず保護用手袋などの保護具を着用した上で、触れて頂きますようお願いいたします。
また、最近の大気汚染は、人体への影響はもちろんあらゆる金属の腐蝕を早め、社会問題にもなっています。当社の製品には特殊な表面処理を施しておりますが、永く優美な色調を保つため正しい施工方法と適切なお手入れをお勧めします。
変色・退色・腐蝕を早める主な原因は
- 配達や輸送時に破損あるいは取扱い不備による場合。
- 壁面にモルタルのアクが雨水と共に流れ、製品に影響を及ぼす場合。
- 施工時にテープや薬品などを使用し、保護膜をいためている場合。 (肉眼ではわかりにくい)
- 大気汚染や潮風など常に酸にさらされている場合。
- 固形物が接触したため保護膜に傷がついた場合。
基本的なお手入れ
- タワシ、ペーパー、研磨材等を表面にあてないで下さい。
- 溶解性・揮発性の薬品は絶対に使用しないで下さい。
- 施工壁がタイルやモルタルの場合、雨水によって酸化しますので、壁面の水洗いも必要です。
- 施工時にテープを直接製品にあてないで下さい。
- 強酸・強アルカリの洗浄剤は使用しないで下さい。
■ステンレス(SUS304)製品
耐食性、加工性、溶接性に優れ、金属サインに最も多く使用されている材料のひとつです。多種多様な仕上げがあり、通常はトップコートを塗装せず使用されます。
①水洗い
製品に付着したホコリや粉粒体を洗い流します。水を含ませた柔らかい布で傷を付けないようやさしく拭き取ります。汚れが目立つ場合は、少量の中性洗剤を水に薄めて使用して下さい。(使用後は洗剤が残らないよう水洗いして下さい。)
仕上げがHLや磨き(バフ目あり)などの場合は、その目に沿って水拭きをして下さい。
使用する布やスポンジによっては製品に傷を付ける場合がありますのでご注意下さい。
②乾拭き
乾いたウエスなどの柔らかい布で、傷を付けないようやさしく水分を拭き取ります。
雨上がりに行うことで、酸性雨の影響による腐食を防ぐ効果があります。
■真鍮・銅製品
空気に触れると酸化し、年月と共に色調が変化して行きます。通常は変色の進行を遅らせるためクリアー塗装によるコーティングを行っております。
①水洗い
製品に付着したホコリや粉粒体を洗い流します。水を含ませた柔らかい布で傷を付けないようやさしく拭き取ります。汚れが目立つ場合は、少量の中性洗剤を水に薄めて使用して下さい。(使用後は洗剤が残らないよう水洗いして下さい。)
使用する布やスポンジによっては製品に傷を付ける場合がありますのでご注意下さい。
②乾拭き
乾いた柔らかい布で、傷を付けないようやさしく水分を拭き取ります。
雨上がりに行うことで、酸性雨の影響による腐食を防ぐ効果があります。
③ワックス
市販の金属用ワックス(拭き取り不要タイプ)を、柔らかい布に少量浸み込ませて拭くことにより、お手入れした状態を持続する効果があります。
研磨剤(コンパウンド)入りのワックスは使用しないで下さい。
■塗装・シート貼り・樹脂製品
①水洗い
製品に付着したホコリや粉粒体を洗い流します。水を含ませた柔らかい布で傷を付けないようやさしく拭き取ります。汚れが目立つ場合は、少量の中性洗剤を水に薄めて使用して下さい。(使用後は洗剤が残らないよう水洗いして下さい。)
使用する布やスポンジによっては製品に傷を付ける場合がありますのでご注意下さい。
②乾拭き
乾いた柔らかい布で、傷を付けないようやさしく水分を拭き取ります。
雨上がりに行うことで、酸性雨の影響による腐食を防ぐ効果があります。
LEDを組込んだサイン施工時の注意点
LEDを組込んだサインの施工に関して、過去実際に発生した事例から、施工(電気工事)の注意点をまとめてみました。スムーズな施工のご参考として頂ければと思います。
1.LED(DC12V)の入力電線にAC100Vを直結し、LEDを焼損させた。
LED(DC12V)に、100Vを印加すると一瞬で焼損します。使用LEDの定格電圧や添付された配線図をよくご確認のうえ工事に取り掛かり、通電前にも今一度ご確認下さい。
2.誤った結線により、不点灯の原因が分からず、半日間工事がストップした。
添付された配線図をよくご確認のうえ工事を行なってください。誤った結線箇所を特定する為、テスターを使用する場合もあります。
3.施工後通電すると、全LEDが約1秒周期で点滅した。
全LEDが点滅を繰り返す場合、電線かLEDがショートして、過電流によりDC電源の保護回路が出力停止と再始動を繰り返している可能性があります。
その場合、結線を少しずつ外しながらショートしている箇所を特定する必要があります。ショート箇所や原因として、文字内のアンカーボルト付近の配線締め付けや、配線の傷などがよくあります。
4.LEDの線の末端がショートしてLEDが不点灯になった。
一般に駆動電圧DC12Vで感電事故になることはありませんが、線間をショートさせると大きな電流がLEDを流れダメージを受けることがあります。
線の末端は、防水対策も含め確実に絶縁処理してください。
5.LED全体が明らかに暗い。
結線が不十分だと抵抗が大きくなり、その電圧降下でLEDの照度が低くなることがあります。特にヨリ線と単線などを多数結線する場合注意が必要です。
抵抗となっている部分をテスターで特定し、再結線することで照度は改善されました。
6.通電したままS(センシング)端子付DC電源の結線を行い、保護回路が出力停止したのをDC電源の初期不良と勘違いした。
DC電源への入力を一旦OFFにし、数分待つとリセットし再使用できます。その際、全ての端子ビスの緩みがないかも確認して下さい。
※S(センシング)端子→電圧降下補正機能として、一部大手国産メーカーの電源に装備
7.DC電源が1年以内に故障した。
返却されたDC電源を解析すると基板(AC部分)の一部が焼損していました。本体各部に錆びがあり、特に出力端子部の錆びがひどいことから、何らかの水分が電線を伝わり端子部より本体へ入ったと思われます。水がかかる可能性がある、湿気が多いなどの場所では防水の電源BOX内に設置するか、防水電源を使用してください。
※その他基本注意事項
- 感電やその他事故防止の為、結線完了まで通電しないで下さい。
- 工事にあたっては 必ずテスターをご用意ください。
(ホームセンター等で、数千円で購入可能) - 100V(一次側電源)への結線は必ず有資格者(電気工事士)が行なってください。
- 万一、不点灯が発生した場合、不点灯の状態で、ある程度不具合箇所の予想が可能です。
(例:全体→DC電源周辺や幹線の結線部分など、部分的→支線やLEDの結線部分や末端など)